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動画を見る:Know your bobbin thread tension(Lords Sewing)
刺繍の輪郭が急に甘くなる。上糸をいじっても直らない。そんな“ある日突然”の乱れは、実はボビン(下糸)側の調子が主犯というケースが多いのです。本記事では、動画で解説されたBrother向けの下糸診断と調整、さらに清掃から再組み立てまで、現場で使える手順を一気にまとめました。

・何が学べる?
- 下糸調子不良の見分け方と、良好な状態の基準
- Brotherにある3種類のボビンケースの役割と“触って良い/ダメ”の判断
- デジタル設定を初期化し、レース(釜)~ボビンケースを適切に清掃する流れ
- 可変式ボビンケースのネジを“半回転刻み”で安全に追い込む方法
- 針板→ボビンケースの順で戻す、故障を招かない再組み立て
刺繍におけるボビン糸調子の基礎
なぜ下糸が大事? 刺繍の輪郭や面の密度は上糸だけで決まりません。下糸が必要以上に引き上がると、上面に白いボビン糸が見え、境界がギザつきます。逆に下糸が強すぎると、裏側の見た目や生地の落ち着きに影響が出ます。動画では生地上面に白い下糸が覗く“悪い例”と、上面の定義がはっきりした“良い例”を対比で示しています。

見分けのポイント
- トップ面:上糸カラーの面に白い線(下糸)が割り込んでいないか。
- 裏面:適切な細い下糸の帯が走り、ルーピング(糸だまり)がないか。
- 症状の急変:上糸設定をいじっていないのに悪化したら、ボビン側を優先チェック。
Brotherのボビンケースを見分ける
刺繍専用機(可変式)と兼用機(封印型) Brotherには主に3タイプのボビンケースがあります。 1) 刺繍専用機向け(例:Innov-is 750/800、V3、XE1など)…正面の小ネジで下糸調子を手動調整できる“可変式”。別糸を使いたいときに追い込めます。

2) 兼用機(縫製+刺繍)の標準…工場で封印された“非調整式”。光沢のある#60番の専用ボビン糸(同色運用前提)に合わせて出荷時に調整済み。ユーザーの分解・改変は非推奨です。

3) ボビンワーク用…太糸を“逆さ縫い”で使う特殊ケース。通常の縫い・刺繍では使いません。

注意したいのは、兼用機に可変式ケースが同梱される場合がある点。たとえば標準の封印型に合わないボビン糸を使いたいなら、可変式ケースへ交換し、そこで微調整します。動画では、糸種が変わると上面に下糸が出やすくなることも示されました。
調整前の下準備:デジタル設定と清掃
デジタルの刺繍テンションは“0”へ 機械的な調整(ボビンケースのネジ)に入る前に、まずはマシンの刺繍テンション画面へ。デジタルの加減は“0”に戻し、工場標準の状態で評価するのがコツ。これで、後から上糸側で微調整する余地も確保できます。

具体的には、設定画面を開き刺繍テンションの調整値を0に。ここが他の値だと、機械的な調整とデジタル補正が干渉して原因切り分けが難しくなります。

基本のフィーリングチェックとレース清掃 ボビンをセットしたら、ケースから下糸を軽く引き出してテンションを指先で確認。適度な抵抗があり、カットできるくらいの張りが“普通”です。

次に、電源をOFFにして、必要なら針板を外し、ボビンケースを取り出します。レース(釜)周辺とケース本体を目視で清掃。ホコリや糸くずは、調子を崩す最頻出原因です。

微小なゴミが調子を崩す:見つけて除去
症状が続くときは、ボビンケースのテンションスプリング(糸が潜る薄い板バネ)へ。ここに微細な糸片やホコリが挟まると、スプリングの押さえが効かず下糸が上面に出やすくなります。

除去手順(優しく・確実に)
- 先の細いピンセット、古い針や待ち針を用意。
- スプリングの縁を軽く持ち上げ、奥に潜む糸片をそっと掻き出す。
- 見えない微粒があるので、最後に軽くブローして払い出す。
- スプリングは繊細。力をかけ過ぎると変形するので要注意。

これだけで、“上面に白いスジが見える”といった症状が解消することが珍しくありません。実際、視聴者コメントでも「糸くず一粒で全てが変わった」という報告が多数ありました。
必要な場合だけ行うボビンケースのネジ調整
可変式ボビンケースの微調整 刺繍専用機、または兼用機に付属する“可変式”ケースを使う場合のみ、正面の小ネジで下糸調子を追い込みます。

方向と刻み
- 右へ(時計回り):“締める”=下糸を出にくくする(上面に白い下糸が出るとき)。
- 左へ(反時計回り):“緩める”=下糸を出やすくする(下糸が強すぎて裏にしか出ない、または上糸を引っ張り過ぎ)。
- 一度に回し過ぎない:半回転刻み→試し縫い→必要なら1/4回転で詰める。

ゴールの見た目
- 上面:上糸の色だけが見え、白い下糸が覗かない。
- 裏面:適度な下糸の帯が均一に走り、ループや鳥の巣がない。
非調整式(封印型)は触らない 兼用機の工場封印タイプは“調整不可”が大原則。別糸を使いたい/見た目を整えたい場合は、可変式のケースへ付け替えて対処します。視聴者からは「封印ネジをいじってしまった」との声もありますが、メーカー設計の想定外です。以降の安定性を重視し、触らずに運用を切り替えましょう。
正しい再組み立てでトラブルを未然に防ぐ
順序が命:針板→ボビンケース 分解清掃の後は、必ず“針板を先に完全固定→最後にボビンケース”の順で戻します。針板を後から付けると、ケースを微妙にずらして固定してしまい、針折れやロックアップの原因に。

最終チェック
- 針板の2本ネジはしっかり締結。
- ケースの白いマークと本体側のマーク(またはストッパ)が正確に合っている。

クイックチェック
- 最近、上糸設定を触っていないのに品質が悪化→下糸側を最優先で点検。
- デジタル刺繍テンションは“0”か。
- ボビンケースの引き出し抵抗は“切れる程度”の適度な張りか。
- レース(釜)とケースのホコリ・糸くずはゼロにできたか。
- 可変式のみネジで半回転刻み→テスト縫い。
- 針板→ケースの順で正しく戻したか。
プロのコツ
- “調子が良いなら触らない”。目的は均一再現。闇雲な調整は避ける。
- 糸種を変えると結果も変わる。兼用機で標準の#60光沢糸以外を使うなら、可変式ケースへ交換して評価を。
- 困ったらまず清掃。テンションスプリングの微粒ゴミは肉眼で見えないことも多い。
- テストは短いサンプルで。刺繍の“A”やサテンの帯で差が出やすい。
注意
- 封印型ボビンケースを分解・改変しない。
- 調子に満足しているときは、テンションに触れない。
- 再組み立ての順序を誤ると針折れ・ロックアップの恐れ。
- 清掃・分解は必ず電源OFFで行う。
コメントから:実体験のヒント集
- 「糸くず一粒で激変」…スプリング下の微細な糸片が原因。除去で改善したとの報告が多数。
- 「上糸をいじっても直らない」…下糸側のバランスが主因。ボビン糸とケースの適合、清掃、可変式での半回転調整が効いた例。
- 「間違ったボビン糸・ケースの組み合わせ」…#60前提のケースに別規格糸を入れて上面に下糸が出た事例。正しい組み合わせで解消。
- 「サービス後に不調」…異なるケースが装着されていた疑いの指摘。ケース種別を再確認。
- 「特定機種の部品互換」…機種固有の部品は地域の販売店へ確認(動画投稿者の回答より)。
周辺アクセサリーと下糸調子の関係(豆知識) 刺繍枠や固定方法が変わっても、下糸調子の診断・対処の基本は同じです。たとえばBrotherの枠サイズや磁気枠を使うシーンでも、上面に下糸が出る現象は“ボビン側の問題”として切り分けられます。brother 刺繍ミシンの運用で、枠や安定紙の選択は重要ですが、調子の基準と手順は普遍です。
- 例:スタビライザーの厚みや枠の保持力を変えても、上面に白い線が見えるなら“まずは下糸側”を点検。
- 枠バリエーションの検討時も、デジタルテンションは0に戻してから評価すると原因分離がしやすい。磁気 刺繍枠 for brother
- Brotherの特定モデル(例:Vシリーズ)は可変式ケースの扱いがしやすく、テストサンプルを用意して差分を記録するのがおすすめです。brother v3
枠・固定の拡張例(参考)
- マグネット式サッシュ枠など、保持力の高いオプションを使うと生地のズレを抑えやすく、テンション評価が安定します。brother hoopnetic magnetic sash フレーム
- モデルや地域でアクセサリーは異なるため、購入前に適合を必ず確認を。メーカー公式や販売店の適合表が頼りになります。brother 磁気 刺繍枠
- 枠サイズの違いは生地張力にも影響しますが、上面に下糸が見える問題はやはりボビン側の清掃・調整が先決です。brother pe800 刺繍枠 size
- 海外記事や英語UIの機種を扱う場合は用語に注意。設定項目名が異なっても、“刺繍テンション=0→機械側評価”は共通手順です。brother sewing machine
よくあるつまずき(症状別メモ)
- 上面に下糸(白)が見える:ボビン緩すぎ/スプリング下の糸くず。清掃→右回しで締める→テスト。
- 裏面に上糸が多い:ボビン強すぎ/上糸緩い。左回しで緩めるか、上糸側も併せて確認。
- 鳥の巣(ボビン側):ボビンの通し間違い、ケースのゴミ、再組み立てのズレを点検。
- 針折れ・異音:針板→ケースの順序で戻したか、マーク合わせを再確認。
まとめ 刺繍の品質が“ある日突然”崩れたら、上糸より先にボビンを疑うのが近道。デジタル設定を0に戻し、清掃で原因を取り除いてから、可変式ケースのみ半回転刻みで微調整。最後は針板→ケースの順で確実に戻す。動画の手順をそのままなぞれば、迷わずに本来の美しさへ戻れます。
