Table of Contents
1 プロジェクトの概要
PE-780Dのタッチパネルでゴシック体を選び、「H」「I」「C」の順に入力して刺繍します。縫製は自動進行で、ピンクの刺繍糸でH→I→Cの順にサテン系の塗りと縁取りが形成されます。完成後は糸切りが自動で入り、枠を外して余分な糸をトリミングします。

1.1 仕上がりイメージと適用シーン
最終的に、淡色の布地上にピンクで「HIC」が均一な密度で並びます。タオルやコットン系の小物、ネーム入れなど、短いテキストに向いた基本ワークフローです。布地の伸縮が強い場合は、のちほど触れる stabilizer の使い方を意識してください。

1.2 タッチパネルの基本とフォント選択
PE-780Dの画面でフォント群からゴシック体を選びます。指でページ送りし、選択したスタイルがハイライトされていることを確認しましょう。フォントサイズや密度の数値は動画で具体提示がないため、本稿では推測せず、画面上の見た目確認を優先します。


1.3 文字入力と確認
アルファベット一覧から「H」「I」「C」を順にタップし、画面に「HIC」と表示されていることを確認します。誤入力があれば、画面の戻る/削除で修正可能です(動画内のUI操作から読み取れる範囲)。

プロのコツ ・入力完了後、レイアウト画面で文字間が詰まりすぎて見える場合は、一旦戻ってフォントのバリエーション(同系の太さ違い等)を見比べると、縫い上がりの読みやすさが向上します。
クイックチェック ・フォント:ゴシック体が選ばれているか。 ・表示:画面に「HIC」と正しく出ているか。
チェックリスト(概要)
- ゴシック体を選択した
- 文字列「HIC」を誤りなく入力した
- 仕上がりサイズは画面の見た目で納得できた(数値は動画で未提示)
2 準備するものと下ごしらえ
必要物は、刺繍ミシン本体、刺繍枠、布地、stabilizer(裏当て)、刺繍糸(動画ではピンク)、糸切り用のはさみです。作業台はフラットで清潔な面を用意しましょう。
2.1 布とstabilizerの役割
布の伸びや地の目の乱れは、文字の縁に波打ちや詰まり(バンチング)を引き起こします。stabilizerで布を支えると、縫い密度が上がっても輪郭が保たれやすくなります。コメントでも、上紙として水溶性のフィルムを重ねる方法が推奨され、特に細い線や角に効果的と示唆されています。
2.2 フーピングの基本
布とstabilizerを重ね、枠にピンと張ります。しわや波打ちが出たままスタートすると、サテンステッチの押しでさらに歪みます。パッカリングが不安な場合は、布の上面に薄手のトッピング(例:水溶性)を重ねると、文字縁の押さえが効きます。ここで 刺繍枠 の周囲に余白を残すと、後のトリムがしやすくなります。
2.3 糸と押えの準備
ミシンに刺繍糸を正しく通し、ボビンも適正にセット。動画ではUIがBLACK表示の場面もありますが、実際の糸色はピンクで進行しています。色指定はあくまでUI表示で、仕上がりは装着した糸色に依存します。

注意 ・具体的なテンション(張力)数値や針番手は動画では示されていません。数値調整が必要な場合は、端布で試し縫いしてから本番に進みましょう。
チェックリスト(準備)
- 布とstabilizerを重ねて枠にピンと張った
- 上面トッピング(水溶性など)を用意(必要に応じて)
- 糸通しとボビンを確認
- 作業台をフラットに整えた
3 マシンのセットアップと位置決め
ここでは、枠の装着と開始前の最終確認を行います。
3.1 枠をマシンへ装着
枠をミシンのアームに差し込み、カチッとロックされるまで固定します。ロック不充分だと位置ズレやエラーの原因になります。
3.2 押えを下げる
押え金を確実に下げ、布とstabilizerの層を落ち着かせます。押えが上がったままだと開始できないほか、初期の縫い出しで糸が暴れます。
3.3 スタート前のUI最終確認
画面に「HIC」が正しく表示され、ゴシック体であることを再確認。誤りがあれば戻る/削除で即修正します。数値情報(フォントサイズや密度)は動画上で示されていないため、この段階では画面の見た目バランスを評価軸にします。

プロのコツ ・短いテキストは左右中央寄せが安定。枠内での基準が取りやすく、縫い順がH→I→Cのため、中央寄りのIに過度な引きを与えにくくなります。
クイックチェック ・枠がロックされている ・押えが下りている ・表示テキストとフォントを確認済み
チェックリスト(セットアップ)
- 枠装着のロック音を確認
- 押え金を下げた
- 画面表示の文字列/フォント/位置に問題なし
4 刺繍の実行手順
スタートボタンを押すと、自動でH→I→Cの順に進みます。進行中は主に糸切れや引きつれ、極端な歪みが出ないかを観察します。
4.1 ステップごとの流れ
1) Hの刺繍:輪郭→塗りの順で、サテンの密度ある面が形成されます。


2) Iへ移動:H完了後、自動で移動してIの輪郭→塗りを進めます。



3) Cの形成:最後にCの曲線を描くように縫い進み、塗りで面を埋めて完了。


プロのコツ ・縫いの序盤で糸の浮きが出たら、すぐに一時停止して短いループを軽く押さえ、再開後の押さえ縫いで自然になじませます。布上面にトッピングを重ねる方法は、コメントでも効果が報告されています。
4.2 品質を見守る視点
- 文字の輪郭:角が丸く潰れていないか、縫い重なりが過剰でないか
- 面の密度:ムラや透けがないか
- 布の状態:縫い進むにつれて波打ったり、寄ったりしていないか
- 糸の状態:ループや毛羽立ち、突然の切れ
ここで、フーピングの安定化や段取り改善に役立つ 刺繍用 枠固定台 を活用すると、毎回の位置決めと張りの再現性が上がり、文字列の並びも安定しやすくなります。
4.3 よくあるつまずきとその場の対処
- 誤ったフォント/文字選択:画面の戻る/削除で修正
- 糸切れ:一時停止→再穿通→最後の正しいステッチ位置から再開
- 布の寄り:縫いを止め、枠の張りを点検。必要に応じて上面に薄いトッピング(水溶性)を追加
注意 ・テンション調整や針交換は動画内で具体的に示されていません。調整は端布でのテストを前提に行ってください。
チェックリスト(運用)
- 文字の輪郭が崩れていない
- 目詰まり・透け・段差がない
- 布の波打ちを検知したら一時停止して対処
補足 ・トップトッピングの追加は、角や細線の押さえに有効で、バンチングの軽減に寄与します(コメント情報)。
5 仕上がりチェックと後処理
Cの縫い終わり後、マシンが自動糸切りを行い、押えを上げて枠を外します。仕上げは周囲の遊び糸をはさみでトリムし、面の乱れがないか確認します。

5.1 枠外しと糸のトリミング
押えを上げ、枠を外して刺繍面を確認。浮いている糸端は短くカットします。糸端は引き抜きすぎず、面の毛羽立ちを抑えるイメージで整えます。
5.2 表面の均しと最終確認
- 文字のエッジがそろっている
- ピンクの塗りが均一で透けがない
- 布やstabilizerにダメージがない
プロのコツ ・上面トッピング(水溶性)を使った場合、指定の方法で除去します。細部のエッジがよりシャープに見え、ステッチの重なりも整って見えます。
クイックチェック
- 3文字の高さとバランスが自然
- 糸の飛びや玉状の毛羽立ちがない
6 トラブルシューティングと回復手順
症状→原因→対処の順で整理します。コメントの知見も反映しています。
6.1 布が文字の周りで寄る/波打つ
- 可能性:stabilizer不足、フーピングの緩み、上面トッピング未使用
- 対処:枠の張りを強める/stabilizerを見直す/上面に水溶性フィルムを重ねる(コメントで推奨)
ここで、上面トッピングの運用を安定化するために マグネット刺繍枠 を活用すると、薄いフィルムの位置決めが素早く行え、短いテキスト刺繍の回転効率が上がります。
6.2 目詰まりや団子状の縫い
- 可能性:密度に対して布支持が弱い、糸のテンションや経路の乱れ
- 対処:一時停止し糸道を再点検。端布でテンションを確認。上面トッピングで押さえを強化
6.3 糸切れ
- 可能性:糸の絡み、針やボビンのセット不良
- 対処:停止→再穿通→最後に正しいステッチ点から再開
6.4 フォントサイズや数値の不明点
- 事実:本動画ではフォントの数値(サイズ/密度)が明示されていません
- 対策:画面上の見た目で許容範囲か判断し、必要なら端布で試し縫い
注意 ・中央の頭文字だけを大きくするUI手順については、動画とコメントでは具体解説がありません。個別文字ごとの調整が可能かどうかは機種仕様に依存するため、PE-780Dのマニュアルを確認してください。
コミュニティから ・布が寄る場合の現場知見として、「上に水溶性のstabilizerを重ねてから縫う」ことが有効との報告が複数ありました。
実務メモと補助ツール ・連続で同サイズの名入れを量産する場合、位置決めと張りの再現性が品質を決めます。作業リピート性の観点では マグネット刺繍枠 brother 用 や 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 を併用すると、布厚や素材が変わっても張り調整が素早く、段取り替えの負担が軽くなります。 ・ワークフロー全体を安定させる治具として 枠固定台 を用意しておくと、枠入れ角度や基準点のズレを減らせます。 ・モデルを問わない基本スキルとして、UI表示と実糸色が異なる場合(動画のBLACK表示とピンク糸の関係)は、表示に惑わされず、実装着の糸で判断します。
なお、本記事はPE-780Dの実演に基づいていますが、一般的な操作原理は多くの brother ミシン に共通します。別機種で応用する際は、該当機のマニュアルと実機の表示を必ず確認してください。
