Hatch でユニコーンを自在にカスタマイズ:配色・フレーム・文字入れ・縫い順最適化まで完全手順

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Hatch でユニコーンを自在にカスタマイズ:配色・フレーム・文字入れ・縫い順最適化まで完全手順
Urban Threads のユニコーンデザインを Hatch Embroidery でカスタマイズし、実機で縫い上げるまでを一気通貫で解説します。PES データの読み込み、スルキー色見本での再配色、アウトラインを重ねたフレーム作成、プリデジタイズ書体での文字入れ、縫い順の最適化、バーチャル再生でのチェック、Brother Innov-is 750E でのステッチアウトまで、動画の流れを整理し直し、手戻りを防ぐ具体的コツを盛り込みました。配色や順序の考え方、Break Apart の注意点、期待できる仕上がりとチェックポイントも明確化。この記事だけで同じ成果に到達できます。

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Table of Contents
  1. プロジェクトの概要
  2. 準備するものと前提条件
  3. セットアップ:デザイン読込と初期確認
  4. 再配色と縫い順の最適化
  5. フレームと文字入れで仕上げる
  6. シミュレーションから実機ステッチへ
  7. 品質チェック:途中と最終仕上がり
  8. トラブルシューティングとリカバリー
  9. コメントから

1 プロジェクトの概要

Urban Threads のユニコーン(PES 形式)を Hatch Embroidery に読み込み、配色をスルキー糸見本に合わせて再設定し、スタンダードシェイプからフレームを追加。さらにプリデジタイズ書体で2行の文字を入れ、縫い順をまとめて効率化します。最終的に PES で書き出し、Brother Innov-is 750E で実際に刺繍します。

1.1 いつ・なぜこの手法か

・既存の良質な市販デザインを“自分仕様”にしたいとき。 ・スレッド数を絞りたい、糸替え回数を減らしたいとき。 ・文字やフレームを加えてギフト向けに仕上げたいとき。 ・実機前に Stitch Player で問題点を先読みしたいとき。

Hatch Embroidery software website homepage.
The Hatch Embroidery website homepage highlights its features, including digitizing, personalizing, and composing embroidery designs. This introduces the software used for customization.

1.2 ソースと完成像の把握

元デザインは Urban Threads(“Winter Glam Unicorn”)。サイズとフォーマットが複数あり、今回は Brother 用に PES を購入しています。サイトにはステッチ数・カラーチャートなどの参考情報も掲載されています。

Urban Threads website displaying 'Winter Glam Unicorn' design.
The Urban Threads website displays the 'Winter Glam Unicorn' design available for purchase, showing format and size options. This provides context on where the base design was acquired.

クイックチェック: ・PES 形式で購入できているか。 ・手持ちフープに入るサイズか(動画では 101×128mm を表示して確認)。 ・配色は手持ちの糸に落とし込めるか。

2 準備するものと前提条件

・Hatch Embroidery(Digitizer レベルを使用) ・PES 形式のユニコーンデザイン(Urban Threads) ・Güttermann Sulky 糸(動画では5色程度を採用) ・Brother Innov-is 750E(実機ステッチ) ・生地/フープ

注意:Hatch 内でのリサイズには品質低下リスクが伴います。動画でも読み込み時に“推奨百分率を超える拡大は品質劣化の恐れ”という警告が表示されています。極端なサイズ変更は避けましょう。

プロのコツ:実機フープの“表示サイズ”を早めにセットし、TrueView で見た目とスケール感を確認しておくと、後からの作業全体が安定します。

チェックリスト(Prep)

  • PES データを用意

- 手持ち糸の色見本を決定(スルキー)

Five spools of Güttermann Sulky embroidery thread in various colors.
Five spools of Güttermann Sulky embroidery thread in red, purple, white, light blue, and dark blue are arranged on a light blue fabric. These are the chosen threads for the recoloring process.
  • フープサイズを把握(例:101×128mm)
  • 実機側が PES を受け取れる状態かを確認

3 セットアップ:デザイン読込と初期確認

3.1 PES の読み込みと警告の理解

Hatch を起動し、Open Design からユニコーン(PES)を読み込みます。Hatch のネイティブ形式ではないため、読み込み時に拡大縮小に関する注意が出ます。ここで無闇にサイズ変更しないのが品質保持のカギです。

Hatch Embroidery software design library interface.
The Hatch Embroidery software interface displays a design library, showing various pre-loaded embroidery patterns. The user is navigating to open a new design.
Unicorn design loaded in Hatch Embroidery software with hoop boundary visible.
The unicorn design is loaded into Hatch Embroidery software, centered within the visible hoop boundary. This is the starting point for customization.

3.2 カラーとシーケンスの現状把握

読み込み直後に Sequence(縫い順)とカラー変更回数を観察します。市販デザインは色数・色替えが多いことがあるため、後工程で“まとめる”余地を見積もります。Hatch の TrueView 表示を活用し、見た目と糸の切り替わり位置を俯瞰しましょう。

クイックチェック:

  • Sequence タブで色ブロックの多さを確認
  • 色ごとの部品が散らばっていないか把握
  • フレームや文字を加える余白があるか

ヒント(道具周辺):硬い・厚い生地を使う場合は、マグネット刺繍枠 を用いるとフープ圧を分散しやすく、位置合わせも安定しやすくなります(動画では通常フープを使用)。

4 再配色と縫い順の最適化

4.1 スルキー糸見本で配色を再設計

Hatch のカラーチャートから Güttermann Sulky を選択し、手持ちの糸番号を入力して各パートを再塗り替え。Ctrl キーで複数部品を一括選択し、関連部位を同色でまとめると効率的です。

Hatch Embroidery software showing color sequence and thread chart for recoloring.
The color sequence tab in Hatch Embroidery software displays various color blocks, with a thread chart open to select new colors. The user is in the process of recoloring design elements.
Hatch Embroidery software with multiple design parts selected using the Ctrl key.
In Hatch Embroidery software, multiple individual design parts are highlighted as selected, ready for a batch color change. This technique streamlines the recoloring process.

プロのコツ:色替え回数を減らす視点で配色する。後で Sequence で色の並びを集約しやすくなります。

4.2 まとめ方=“色×部品”を束ねる

配色を終えたら、Sequence で同色を近接させるように並べ替えます。無駄なトリムや移動が減り、仕上がりの糸浮きリスクも低下します。見た目は

Unicorn design fully recolored in Hatch Embroidery software.
The unicorn design is now fully recolored with the selected thread palette, appearing vibrant and distinct. The user is reviewing the aesthetic outcome after completing the color changes.

のように、色面が整理されているのが理想です。

注意:ここでの並べ替えは後工程のフレーム・文字入れ後にも再実施します。全体最適の視点で“最後にもう一度”順序を見直す前提で進めましょう。

チェックリスト(Recolor & Sequence)

  • スルキー色見本を選択済み
  • Ctrl 選択で関連部位を一括再配色
  • Sequence で同色を近接配置
  • TrueView で色の乗り・重なりを確認

補足(セッティング支援):量産や再現性重視なら、刺繍用 枠固定台 を使って毎回同じ位置にフープをセットすると、試し縫いのバラつきが減ります。

5 フレームと文字入れで仕上げる

5.1 フレームの選択・配置・回転

Digitize の Standard Shapes からフレームを選び、フープ上でクリック→Enter で配置。Select ツールで回転90°、塗りを Outline に切り替え、ノードでサイズを追い込みます。中心とプロポーションを確認し、ユニコーンを引き立てる“余白”を確保しましょう。

Standard shapes menu in Hatch Embroidery software displaying various frame options.
The 'Standard Shapes' menu is open in Hatch Embroidery, presenting numerous pre-designed frame options. The user selects a specific frame to enclose the unicorn design.
Frame shape newly applied over the unicorn design in Hatch Embroidery software.
A new frame shape has been applied over the unicorn design, appearing as a filled shape initially. The next step is to adjust its rotation and convert it to an outline.

プロのコツ:最初から塗りではなく Outline にする。無駄な密度や重なりを避け、縫製時間と糸消費を抑えられます。

5.2 アウトラインの多層化とステッチ種

Create Layouts の Create Outlines で Offset 2mm・Count 1 を指定し、外周に2本のアウトラインを追加。外側を Single Run、内側を Triple Run に設定します。色もスルキーから選び、Sequence で他の同色と連携するよう順序を整理します。

Create Outlines tool menu in Hatch Embroidery software, showing offset settings.
The 'Create Outlines' tool menu is displayed, allowing the user to set offset values and stitch types for new outlines. This feature generates additional borders around the existing frame.

クイックチェック:

  • 2mm のオフセットが窮屈すぎないか
  • Outer=Single、Inner=Triple になっているか
  • 同色パートと連携する順序に並べたか

5.3 文字入れ:2行構成と書体選択

Lettering ツールで1行目「If you can be anything, be a」を入力し、プリデジタイズ書体から選択・配置・サイズ調整。続けて2行目「UNICORN」を Antique Rose で設定し、全体のバランスを整えます。

Lettering tool interface in Hatch Embroidery software with text input field.
The lettering tool interface is active, providing a text input field and font selection options. The user is beginning to add custom text to the design.
Font selection dropdown menu in Hatch Embroidery software.
A dropdown menu within the lettering tool shows a wide array of pre-digitized embroidery fonts. The user scrolls through to choose a suitable style for the 'UNICORN' text.

注意:プリデジタイズ書体は縫い品質が安定します。TrueType の自動変換も可能ですが、期待通りのステッチになるかは都度検証を。

5.4 アラインと Break Apart のタイミング

Align and Space で全要素を垂直整列。次に UNICORN を選んで Edit Objects の Break Apart を実行し、1文字ずつ独立オブジェクト化します。これは各文字を別色にしたいからで、一括のままだと文字と装飾(花)が同色変更されてしまいます。

Hatch Embroidery software showing 'Break Apart' option selected from the Edit menu.
The 'Break Apart' option is highlighted in the 'Edit Objects' menu, indicating the user is about to separate the 'UNICORN' text into individual letters. This is a critical step for per-letter recoloring.

プロのコツ:Break Apart は“最後の文字調整が終わってから”。分解後はテキストとしての再編集ができません。文字列・書体・サイズを確定してから実行しましょう。

チェックリスト(Frame & Lettering)

  • フレームは Outline 指定・回転・サイズ良好
  • Create Outlines:2mm/Count 1 で追加済み
  • Outer=Single Run/Inner=Triple Run
  • 文字2行の視認性、周囲との余白
  • Align 済み、Break Apart の順序ミスなし

補足(固定・保持具):分厚いトートやキルティングなどは、マグネット刺繍枠 brother 用 のような磁力フープを活用すると跡が付きにくく、テンションも安定します(本プロジェクトは通常フープで実施)。

6 シミュレーションから実機ステッチへ

6.1 Stitch Player で疑似縫製

完成見込みになったら Stitch Player で全体を再生。縫い順の理屈が破綻していないか、無駄なジャンプや重なり、刺し戻りや過度の密度がないかをチェックします。ここで気づいた点は、Sequence やステッチ種・色で修正して再確認します。

Hatch Embroidery software displaying the stitch player simulating the embroidery process.
The stitch player is actively simulating the embroidery process, showing the virtual needle tracing the design lines. This allows for a pre-check of the stitch order and potential issues.

注意:シミュレーションで気になる箇所は“必ず”修正。ここを省くと、実機での糸切れや密度ムラに直結します。

6.2 書き出しと実機縫製

問題が解消されたら PES でエクスポート。Brother Innov-is 750E に転送し、フープに生地をセットして刺繍開始。糸替えの指示に従い、各色をスムーズに切り替えます。縫製中はテンションと糸走行、布送りの安定を視認。最終色まで進めれば完成です。

Brother Innov-is 750E embroidery machine actively stitching the unicorn design.
A Brother Innov-is 750E embroidery machine is actively stitching the unicorn design on light blue fabric, with the needle moving quickly. Spools of thread are visible on the side, ready for changes.

プロのコツ:ミニサンプルを同じ生地で一度縫っておくと、本番での色味・密度・順序の“体感”が得られます。複数回量産する場合は、hoopmaster 枠固定台 のような治具で位置を標準化すると効率が上がります。

チェックリスト(Export & Stitch)

  • Stitch Player を最後まで通したか
  • PES 形式で正しく書き出し
  • 実機でのテンション・糸切れ・引き攣れなし
  • 糸替え回数は想定内か(Sequence 最適化の成果)

補足(応用のヒント):ワイドなフープを使う場合、brother 5x7 マグネット刺繍枠 のようにサイズに合った磁力フープでホールドすれば厚手素材でもシワを抑えやすくなります(本プロジェクトの具体使用は動画に未記載)。

7 品質チェック:途中と最終仕上がり

7.1 中間チェック(色ごと)

  • 同色グルーピングの結果、無駄な移動が減っているか
  • 文字の可読性(サイズ・太さ・密度)
  • フレームの多重ライン(Single/Triple)の出目が均一か

7.2 最終チェック(取り外し前)

  • 全色の重なりに乱れや隙間がないか
  • 文字とユニコーンの視線・余白のバランス
  • 糸渡りの不要な“浮き”が表出していないか
  • フープ跡・生地歪みがないか(必要なら冷却後に整える)

クイックチェック:

  • TrueView の印象と現物が一致している
  • フレームの角で縫い寄りやバタつきが出ていない
  • 裏面の糸密度が極端に偏っていない

補足(運用面):複数のロゴや名入れを同じ基準で量産するなら、brother 刺繍ミシン 用 クランプ枠 を使って位置決めを簡略化する方法もあります(動画では扱っていません)。

8 トラブルシューティングとリカバリー

症状:糸替えが多すぎて時間がかかる

  • 可能原因:配色時に“似た色”を統合しなかった/Sequence で同色をまとめていない
  • 対処:近似色を一本化し、Sequence で同色を連続配置する

症状:文字の輪郭がギザつく/密度が重い

  • 可能原因:TTF 変換でステッチが過密/サイズが小さすぎ
  • 対処:プリデジタイズ書体に変更、またはサイズを見直す

症状:フレームが主張しすぎて本体が埋もれる

  • 可能原因:フレームの太さ・色が強すぎる
  • 対処:Single/Triple の役割を見直し、色コントラストを調整

症状:実機で糸切れが頻発

  • 可能原因:密度過多/縫い順の飛びが多い
  • 対処:Stitch Player で問題部位を特定し、ステッチ種や順序を調整して再エクスポート

症状:サイズ変更で品質劣化

  • 可能原因:推奨百分率を超える拡大・縮小
  • 対処:サイズは最小限に留める。大幅変更は再デジタイズを検討

回避の型:

  • “Break Apart は最後に”の原則を守る
  • 毎章末のチェックリストを実施
  • Stitch Player を本番前に必ず通す

応用(複数箇所配置):同一フープ内で位置をずらしながら複数回刺繍する場合は、ミシン刺繍 マルチフーピング の手順を採ると無駄が少なくなります(本プロジェクトでの具体フローは動画に未記載)。

9 コメントから

視聴者からは作品と解説への好意的な反応が寄せられています。特に配色のまとめ方と、Stitch Player での事前確認の有効性が高く評価されました。今後の制作でも、配色×縫い順の一体最適化と、Break Apart のタイミング管理を徹底することで、安定した仕上がりが期待できます。

実践の指針(総まとめ): 1) 最初に“何を変えるか”を定義(配色・枠・文字・順序) 2) スルキー見本で配色、Sequence で色を束ねる 3) フレームは Outline+Create Outlines で多層化、ステッチ種を役割分担 4) 文字は Align→Break Apart→個別再配色 5) Stitch Player で最終確認→PES へ書き出し→実機へ

最後に、厚手素材や生地の都合でフーピングが難しいときは、マグネット刺繍枠 brother 用 などの磁力フープや、再現性重視のセッティングには 刺繍用 枠固定台 の導入を検討するとよいでしょう(本プロジェクトでの使用有無は動画では明示されていません)。