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1 プロジェクトの概要
刺繍データの糸だけで形を保つ「フリースタンディング」タイプのピアスを、In-the-Hoop(ミシンの枠の中ですべて完結)で作ります。厚手の水溶性安定紙を2枚重ねで枠張りし、刺繍後に水で溶かすことで糸のレースだけが残ります。
In-the-Hoop とは「刺繍枠の中で完結するプロジェクト」のこと。縫い合わせや別工程をほとんど必要とせず、ミシンが刺している間は見守るだけで形になります。コメントでも「In the hoop の意味は?」という質問がありましたが、定義はこの通りで、今回のピアスもその代表例です。
プロジェクトの所要時間は、片耳約9分(動画事例)。4個同時に配置すれば、1回の刺繍で2ペアを仕上げられます。

1.1 向いている用途と向いていない用途
- 向いている: 軽いアクセサリー、色違いを量産したいギフト、イベント小物。
- 向いていない: 水に濡らせない場面(制作時には必ず水で安定紙を溶かすため)、高温に弱い糸を使う場合(アイロン乾燥の代替として自然乾燥を選べば可)。
1.2 仕上がりの想定
- しっかりめのコシと軽さ。厚手の水溶性安定紙を2枚重ねにすることで、薄さと強度のバランスを確保します。
- 両面の見た目が揃うよう、上糸とボビン糸は同色にします。
2 准備するもの
以下は動画で実際に使われた道具と材料です。ブランドやサイズの詳細が明示されない項目は、そのまま「未記載」とします。

2.1 材料
- 水溶性安定紙(厚手)×2枚重ね(動画で厚手を2枚使用)
- 刺繍糸(例:シルバー、ピンク)
- 丸カン(中サイズ推奨、動画では中サイズと小サイズを所持)
- イヤーフック(動画では一般的な金具を使用。低刺激タイプではない旨の注意あり)
この工程では、今後の発展として マグネット刺繍枠 を使った枠入れの効率化を検討する読者もいますが、ここで紹介する基本手順は通常の枠でも問題なく再現できます。
2.2 道具
- 刺繍ミシン(動画の実機は Brother PE800)
- はさみ(先の尖った小ばさみがあるとジャンプ糸のカットに便利)
- ペンチ(ニードルノーズプライヤー)
- アイロン
- テフロンシート(またはベーキングシート)
作業スペースは、デザイン準備用の机、ミシン周り、シンク(安定紙を流す)、アイロン台、金具取り付け用の平らな面、の5つに分けると動線がスムーズです。
2.3 事前知識(前提)
- Embrilliance などの刺繍ソフトの基本操作
- 刺繍ミシンの基本操作(糸掛け、ボビン交換、枠張り、データ読み込み)
【注意】敏感肌の方は、イヤーフックの素材を事前に確認してください。動画の金具は低刺激ではない旨のコメントがあり、長時間の着用で耳が赤くなる可能性に言及がありました。
【プロのコツ】今後の作業効率化を考えるなら、位置決め用の台を使うと再現性が上がります。たとえば hoopmaster 枠固定台 は衣類の位置出しで知られますが、小物の位置決めワークフローにも応用可能です。
■ 準備チェックリスト
- [ ] 厚手の水溶性安定紙を2枚カット(枠サイズに合わせる)
- [ ] 使用色の刺繍糸と同色でボビンを準備
- [ ] イヤーフック・丸カン・ペンチを手元に
- [ ] テフロンシートとアイロンを用意
3 ソフトでのデザイン準備
Embrilliance で .PES ファイルを読み込み、1枠に複数のペアが収まるように配置します。動画では「Earring_03」と「Earring_13」のペアをドラッグ&ドロップで配置し、回転・移動でスペースに最適化しています。

3.1 .PES ファイルの読み込みと配置
- ワークスペースにペアデータをドラッグ&ドロップ
- 4個(2ペア)が1枠に収まるよう、回転・移動で干渉を回避
- 枠外にはみ出していないか、重なりがないかを確認
【クイックチェック】「4個同時に刺繍できるか」は枠サイズと配置次第です。動画では実際に4個配置していますが、読者の枠サイズは異なることがあるため、必ずプレビューで検証しましょう。

3.2 色の統一(無駄な停止を減らす)
- 複数デザインを同色で刺す場合、ソフト側で色を揃えておくと、ミシンの停止(色替え)が減ります。
- 動画では一旦ソフトで色を揃え、実機で色を最終決定しています。
【注意】ソフト上の表示色はあくまで参考。実糸の色と一致するわけではないため、あくまで「停止回数の最適化」に使います。
■ デザイン準備チェックリスト
- [ ] 4個が重ならずに枠内へ収まっている
- [ ] 不要な色替えを避けるため、色順をまとめた
- [ ] USB へ保存(.PES 形式)し、ミシンで読めることを確認
4 枠張り(厚手の水溶性安定紙を2枚)
厚手の水溶性安定紙を枠サイズに合わせて2枚カットし、重ねて枠に張ります。ピンと張れたら周囲をやさしく引いて表面張力を均一にします。

4.1 素材選びの基準
- 厚手タイプを使用(動画では薄いフィルム状ではない厚手タイプ)
- 2枚重ねにして強度と安定性を確保
この工程は通常枠で十分ですが、将来的に反復制作をするなら マグネット刺繍枠 brother 用 のような固定・着脱が容易な枠を検討すると段取りが安定します。なお、本稿の手順は通常枠前提で解説します。
4.2 張りの調整と注意点
- ネジで締め、周囲を少しずつ引いてしわを伸ばす
- 強く引きすぎると破れやすい(厚手でも水溶性は引きちぎれやすい)
【注意】水溶性安定紙は破れやすいので、強い力での引き伸ばしは厳禁です。破れたら落ち着いて張り直しましょう。
■ 枠張りチェックリスト
- [ ] しわ・たるみなしでフラット
- [ ] 2枚重ねで均一なテンション
- [ ] 破れ・ほつれなし
5 ミシンのセットと刺繍
USB のデータを読み込み、上糸とボビン糸を同色でセットします。動画ではシルバーを例に、同色ボビンを使用しています。枠を装着し、データと予測時間を最終確認してから刺繍を開始します。

5.1 ミシン準備の要点
- 上糸・ボビン糸を同色で準備(両面の見た目を揃えるため必須)
- 枠をしっかり装着し、データ位置を確認
- 見込み時間(例:片耳約9分、シルバーのペアで約18分)を把握
ここで、もし枠の着脱頻度が高い運用に移行する場合は 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 の導入検討も無駄がありませんが、今回の一連の流れは通常枠で問題なく行えます。
5.2 ステッチアウト
- 刺繍を開始し、序盤は糸切れやテンション異常がないかだけ見守る
- 色替えが必要な場合のみ停止して対応(ソフトで色統一しておくと停止が減る)
【プロのコツ】1ペア目をシルバーで刺したら、2ペア目をピンクに色替えして続行すると、同じ枠の中で色違いを作れて効率的です。

【クイックチェック】縫い密度が高い部分で糸切れが起きやすいので、異音や空縫いに気づいたら一旦停止して上糸・ボビンの通し直しを行います。

■ 刺繍チェックリスト
- [ ] 上糸・ボビン糸が同色で通っている
- [ ] 枠がしっかり固定されている
- [ ] ステッチにループや浮きがない
6 刺繍後の仕上げ(カット・洗浄・乾燥・金具)
刺繍が終わったら枠から外し、ジャンプ糸を小ばさみでカットします。つづいて流水に当てて水溶性安定紙を溶かし、糸だけを残します。

6.1 カット(ジャンプ糸・外周)
- 枠を外し、ジャンプ糸を表裏ともに丁寧にカット
- ピアス1つずつ外周を近接カット(本体を切らないよう注意)
【注意】外周を切るときは、先の細いはさみで少しずつ。焦らずに。
6.2 洗浄(安定紙を溶かす)
- シンクで流水に当て、周囲と内側の安定紙を指でやさしく落とす
- 残留感(ぬめり・曇り)がなくなるまで繰り返す
【プロのコツ】中心の小さな抜き部分は、水が十分回ってから軽く擦ると崩れずに外せます。詰まりはタオルに拭き取り、排水に流しすぎない工夫も◎。

6.3 乾燥(平置き+アイロン)
- 平置きで自然乾燥、またはテフロンシート越しに低〜中温で軽くプレス
- 直接アイロンはNG(糸・仕上げを傷める可能性)
動画ではテフロンシートを乗せてアイロンで乾燥を促進し、ハリのある仕上がりにしています。

【クイックチェック】完全に乾くと、適度なコシと平滑性が出ます。湿り気が残ると、柔らかすぎたり形が落ちたりするので要注意。

6.4 金具の取り付け(丸カン+フック)
- ペンチで丸カンを「前後にひねって」開ける(左右に広げない)
- ピアス上部のループに通し、フックを一緒に通してから閉じる
- 隙間が残らないように締め、フックの向きを整える
動画では、グレーのピアスにダークグレー系の金具、ピンクにはシルバー系を合わせています。敏感肌の場合は、低刺激素材のフックを選ぶと安心です。

【注意】強く挟みすぎると金具を傷つけることがあります。ゆっくり丁寧に。

■ 仕上げチェックリスト
- [ ] ジャンプ糸の取り残しなし
- [ ] 安定紙の残留なし(曇り・ぬめりなし)
- [ ] 完全に乾燥しており形が保たれている
- [ ] 丸カンの隙間なし、フックの向きが正しい
7 仕上がりチェック
- 見た目:輪郭がスッキリ、糸がたるんでいない
- 触感:軽く、指でそっと押しても形が戻る程度のコシ
- 表裏:ボビン同色のため両面で色差が出ていない
【クイックチェック】並べてみて、ペア間で長さ・吊り位置が揃っているか確認。左右でフックの向きが対称になっているかも見ます。

8 トラブルシューティングとリカバリー
症状 → 原因 → 対処 の順にまとめます。
- 糸が切れる/浮く → 上糸・ボビンの通し不良やテンション不良 → 通し直し、テンションを弱めすぎ/強めすぎていないか確認。
- 仕上がりがフニャッとする → 安定紙の重ね不足や残留、乾燥不足 → 厚手2枚重ねを徹底、残留は再度流水で洗ってからしっかり乾燥。
- 表裏の色差が気になる → ボビンが白など別色 → ボビンも上糸と同色に交換。
- 枠内で歪む/波打つ → 枠張りが緩い、引っぱりすぎ → 張り直し。引きすぎない、しわを均等に伸ばす。
- 金具が外れる → 丸カンの閉じが甘い → 前後にひねる要領で再度閉じ、隙間ゼロにする。
【注意】水溶性安定紙は引きちぎれやすい素材です。枠張りやカット時は力加減に留意し、破れたら張り直しが最短の解決です。
【プロのコツ】量産や反復制作をするなら、今後 brother マグネット刺繍枠 のような着脱が速い枠や、位置決め用治具を検討すると段取りが安定します。小物でも治具の恩恵は大きく、1回ごとの準備時間が短縮できます。
また、将来の拡張としてはサイズバリエーションの枠も視野に入ります。例えば マグネット刺繍枠 11x13 のような大きめサイズ対応は小物の同時生産に有利ですが、本稿の動画事例では具体的な枠サイズは明示されていません(使用可否は各自の機種仕様をご確認ください)。
9 コメントから
- 「本当に糸だけでできているの?」→ その通り。水溶性安定紙を洗い流すと糸だけが残ります。
- 「In-the-Hoop って何?」→ 刺繍枠の中で工程が完結するプロジェクトの総称です。
- 「どのソフト?」→ Embrilliance。Mac 版もありとの回答がありました。
- 「どのショップのデザイン?」→ 動画では入手元に触れていましたが、該当販売先はその後クローズした旨の補足がありました。
【プロのコツ】パターンを複数面付けするときは、USB へ保存する前に干渉チェックを必ず実施。時間見積もり(片耳約9分)を基に、色替えのタイミングや次工程(洗浄〜乾燥)の準備を先回りすると、待ち時間が無駄になりません。
【発展のヒント】Brother PE800 をお使いの場合、作業の再現性を高めたいときは brother pe800 マグネット刺繍枠 の互換性を必ず確認しましょう。仕様適合が取れれば、着脱スピードや生地・素材の保持安定性で恩恵が得られます(ただし本プロジェクトの動画事例では通常枠を使用)。
【さらに効率を上げたい方へ】枠や設置の選択肢は多様です。たとえば マグネット刺繍枠 brother se1900 用 や マグネット刺繍枠 11x13 といった選択肢を調べておけば、将来的に機種を変えた時でも段取りの最適化がしやすくなります。枠の互換・適合は必ずメーカー仕様で確認してください。
【安全メモ】
- 枠張りの引きはやさしく(破れやすい)
- 低刺激でないフックは敏感肌に不向き。長時間の着用は避けるか、肌に合う素材を選ぶ
最後に、今回の一連の流れは、通常枠・厚手水溶性安定紙(2枚重ね)・同色ボビンという3点を守れば、誰でも安定した結果に近づけます。もし将来のワークフロー改善を狙うなら、マグネット刺繍枠 brother 用 や マグネット刺繍枠 系の選択肢、あるいは snap hoop monster マグネット刺繍枠 のような着脱性の高い枠も比較検討してみてください(本記事の再現には必須ではありません)。
