刺繍ミシンでつくる「糸だけのピアス」完全ガイド(In-the-Hoop)

· EmbroideryHoop
刺繍ミシンでつくる「糸だけのピアス」完全ガイド(In-the-Hoop)
刺繍ミシンで「糸だけ」の軽やかなピアスを作る手順を、デザイン準備から仕上げまで一気通貫で解説します。Embrilliance での配置と色統一、厚手の水溶性安定紙を2枚重ねで枠張り、ミシン刺繍、ステッチ間ジャンプ糸のカット、流水での安定紙除去、アイロンでの乾燥、丸カンとフックの取付けまでを、チェックリストと注意点つきで整理。動画に寄せられた「In-the-Hoop の意味」「本当に糸だけでできているの?」などの質問にも本文内で回答。所要は片耳約9分、1枠で4個同時刺繍も可能です(動画の事例)。

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Table of Contents
  1. プロジェクトの概要
  2. 準備するもの
  3. ソフトでのデザイン準備
  4. 枠張り(厚手の水溶性安定紙を2枚)
  5. ミシンのセットと刺繍
  6. 刺繍後の仕上げ(カット・洗浄・乾燥・金具)
  7. 仕上がりチェック
  8. トラブルシューティングとリカバリー
  9. コメントから

1 プロジェクトの概要

刺繍データの糸だけで形を保つ「フリースタンディング」タイプのピアスを、In-the-Hoop(ミシンの枠の中ですべて完結)で作ります。厚手の水溶性安定紙を2枚重ねで枠張りし、刺繍後に水で溶かすことで糸のレースだけが残ります。

In-the-Hoop とは「刺繍枠の中で完結するプロジェクト」のこと。縫い合わせや別工程をほとんど必要とせず、ミシンが刺している間は見守るだけで形になります。コメントでも「In the hoop の意味は?」という質問がありましたが、定義はこの通りで、今回のピアスもその代表例です。

プロジェクトの所要時間は、片耳約9分(動画事例)。4個同時に配置すれば、1回の刺繍で2ペアを仕上げられます。

Embrilliance software interface showing multiple PES earring designs, including 'Earring_03_Pair.pes' and 'Earring_13_Pair.pes', arranged on a virtual hoop.
The Embrilliance software interface shows multiple earring designs. The user drags and drops 'Earring_03_Pair.pes' into the workspace, preparing to arrange multiple pairs for embroidery.

1.1 向いている用途と向いていない用途

  • 向いている: 軽いアクセサリー、色違いを量産したいギフト、イベント小物。
  • 向いていない: 水に濡らせない場面(制作時には必ず水で安定紙を溶かすため)、高温に弱い糸を使う場合(アイロン乾燥の代替として自然乾燥を選べば可)。

1.2 仕上がりの想定

  • しっかりめのコシと軽さ。厚手の水溶性安定紙を2枚重ねにすることで、薄さと強度のバランスを確保します。
  • 両面の見た目が揃うよう、上糸とボビン糸は同色にします。

2 准備するもの

以下は動画で実際に使われた道具と材料です。ブランドやサイズの詳細が明示されない項目は、そのまま「未記載」とします。

Embrilliance software interface with earring designs. The user is changing the color of one of the earring designs from blue to pink.
The user is actively changing the thread color for one of the earring designs within the Embrilliance software to match the intended physical thread color, ensuring the machine doesn't stop for unnecessary changes.

2.1 材料

  • 水溶性安定紙(厚手)×2枚重ね(動画で厚手を2枚使用)
  • 刺繍糸(例:シルバー、ピンク)
  • 丸カン(中サイズ推奨、動画では中サイズと小サイズを所持)
  • イヤーフック(動画では一般的な金具を使用。低刺激タイプではない旨の注意あり)

この工程では、今後の発展として マグネット刺繍枠 を使った枠入れの効率化を検討する読者もいますが、ここで紹介する基本手順は通常の枠でも問題なく再現できます。

2.2 道具

  • 刺繍ミシン(動画の実機は Brother PE800)
  • はさみ(先の尖った小ばさみがあるとジャンプ糸のカットに便利)
  • ペンチ(ニードルノーズプライヤー)
  • アイロン
  • テフロンシート(またはベーキングシート)

作業スペースは、デザイン準備用の机、ミシン周り、シンク(安定紙を流す)、アイロン台、金具取り付け用の平らな面、の5つに分けると動線がスムーズです。

2.3 事前知識(前提)

  • Embrilliance などの刺繍ソフトの基本操作
  • 刺繍ミシンの基本操作(糸掛け、ボビン交換、枠張り、データ読み込み)

【注意】敏感肌の方は、イヤーフックの素材を事前に確認してください。動画の金具は低刺激ではない旨のコメントがあり、長時間の着用で耳が赤くなる可能性に言及がありました。

【プロのコツ】今後の作業効率化を考えるなら、位置決め用の台を使うと再現性が上がります。たとえば hoopmaster 枠固定台 は衣類の位置出しで知られますが、小物の位置決めワークフローにも応用可能です。

■ 準備チェックリスト

  • [ ] 厚手の水溶性安定紙を2枚カット(枠サイズに合わせる)
  • [ ] 使用色の刺繍糸と同色でボビンを準備
  • [ ] イヤーフック・丸カン・ペンチを手元に
  • [ ] テフロンシートとアイロンを用意

3 ソフトでのデザイン準備

Embrilliance で .PES ファイルを読み込み、1枠に複数のペアが収まるように配置します。動画では「Earring_03」と「Earring_13」のペアをドラッグ&ドロップで配置し、回転・移動でスペースに最適化しています。

Hands holding a roll of thick water-soluble stabilizer, showing its texture, with an embroidery hoop on the table.
The user presents the thick water-soluble stabilizer, emphasizing its quality for sturdy earrings. This material is cut to fit the hoop and doubled up for added rigidity.

3.1 .PES ファイルの読み込みと配置

  • ワークスペースにペアデータをドラッグ&ドロップ
  • 4個(2ペア)が1枠に収まるよう、回転・移動で干渉を回避
  • 枠外にはみ出していないか、重なりがないかを確認

【クイックチェック】「4個同時に刺繍できるか」は枠サイズと配置次第です。動画では実際に4個配置していますが、読者の枠サイズは異なることがあるため、必ずプレビューで検証しましょう。

Hands hooping two layers of water-soluble stabilizer into an embroidery hoop, ensuring it is taut and flat.
The user carefully hoops two layers of water-soluble stabilizer, demonstrating how to achieve a tight and wrinkle-free surface within the embroidery hoop. This preparation is essential for clean stitching.

3.2 色の統一(無駄な停止を減らす)

  • 複数デザインを同色で刺す場合、ソフト側で色を揃えておくと、ミシンの停止(色替え)が減ります。
  • 動画では一旦ソフトで色を揃え、実機で色を最終決定しています。

【注意】ソフト上の表示色はあくまで参考。実糸の色と一致するわけではないため、あくまで「停止回数の最適化」に使います。

■ デザイン準備チェックリスト

  • [ ] 4個が重ならずに枠内へ収まっている
  • [ ] 不要な色替えを避けるため、色順をまとめた
  • [ ] USB へ保存(.PES 形式)し、ミシンで読めることを確認

4 枠張り(厚手の水溶性安定紙を2枚)

厚手の水溶性安定紙を枠サイズに合わせて2枚カットし、重ねて枠に張ります。ピンと張れたら周囲をやさしく引いて表面張力を均一にします。

Hands holding a spool of silver embroidery thread and a bobbin filled with matching silver thread, ready for the machine.
The user holds a spool of silver embroidery thread alongside a matching bobbin, explaining the importance of having the bobbin thread color consistent with the top thread to ensure a uniform appearance on both sides of the earring.

4.1 素材選びの基準

  • 厚手タイプを使用(動画では薄いフィルム状ではない厚手タイプ)
  • 2枚重ねにして強度と安定性を確保

この工程は通常枠で十分ですが、将来的に反復制作をするなら マグネット刺繍枠 brother 用 のような固定・着脱が容易な枠を検討すると段取りが安定します。なお、本稿の手順は通常枠前提で解説します。

4.2 張りの調整と注意点

  • ネジで締め、周囲を少しずつ引いてしわを伸ばす
  • 強く引きすぎると破れやすい(厚手でも水溶性は引きちぎれやすい)

【注意】水溶性安定紙は破れやすいので、強い力での引き伸ばしは厳禁です。破れたら落ち着いて張り直しましょう。

■ 枠張りチェックリスト

  • [ ] しわ・たるみなしでフラット
  • [ ] 2枚重ねで均一なテンション
  • [ ] 破れ・ほつれなし

5 ミシンのセットと刺繍

USB のデータを読み込み、上糸とボビン糸を同色でセットします。動画ではシルバーを例に、同色ボビンを使用しています。枠を装着し、データと予測時間を最終確認してから刺繍を開始します。

Hands attaching the hooped stabilizer to the Brother PE800 embroidery machine.
The user demonstrates attaching the securely hooped stabilizer to the Brother PE800 embroidery machine's arm. This action ensures the stabilizer is correctly positioned for the embroidery process.

5.1 ミシン準備の要点

  • 上糸・ボビン糸を同色で準備(両面の見た目を揃えるため必須)
  • 枠をしっかり装着し、データ位置を確認
  • 見込み時間(例:片耳約9分、シルバーのペアで約18分)を把握

ここで、もし枠の着脱頻度が高い運用に移行する場合は 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 の導入検討も無駄がありませんが、今回の一連の流れは通常枠で問題なく行えます。

5.2 ステッチアウト

  • 刺繍を開始し、序盤は糸切れやテンション異常がないかだけ見守る
  • 色替えが必要な場合のみ停止して対応(ソフトで色統一しておくと停止が減る)

【プロのコツ】1ペア目をシルバーで刺したら、2ペア目をピンクに色替えして続行すると、同じ枠の中で色違いを作れて効率的です。

Close-up of the embroidery machine stitching a silver earring design onto the water-soluble stabilizer.
The embroidery machine begins stitching the intricate silver earring design onto the water-soluble stabilizer. The detailed work of the machine is visible as the pattern takes shape.

【クイックチェック】縫い密度が高い部分で糸切れが起きやすいので、異音や空縫いに気づいたら一旦停止して上糸・ボビンの通し直しを行います。

Close-up of the embroidery machine stitching a pink earring design, with a completed silver earring visible next to it.
After changing the thread to pink, the embroidery machine stitches the second earring design. A completed silver earring is visible, showing the progress of the project.

■ 刺繍チェックリスト

  • [ ] 上糸・ボビン糸が同色で通っている
  • [ ] 枠がしっかり固定されている
  • [ ] ステッチにループや浮きがない

6 刺繍後の仕上げ(カット・洗浄・乾燥・金具)

刺繍が終わったら枠から外し、ジャンプ糸を小ばさみでカットします。つづいて流水に当てて水溶性安定紙を溶かし、糸だけを残します。

Hands using scissors to carefully cut around an embroidered silver earring design, separating it from the excess stabilizer.
The user carefully trims the embroidered silver earring design using scissors, cutting closely around the stitched edges. This step separates the individual earring piece from the remaining stabilizer.

6.1 カット(ジャンプ糸・外周)

  • 枠を外し、ジャンプ糸を表裏ともに丁寧にカット
  • ピアス1つずつ外周を近接カット(本体を切らないよう注意)

【注意】外周を切るときは、先の細いはさみで少しずつ。焦らずに。

6.2 洗浄(安定紙を溶かす)

  • シンクで流水に当て、周囲と内側の安定紙を指でやさしく落とす
  • 残留感(ぬめり・曇り)がなくなるまで繰り返す

【プロのコツ】中心の小さな抜き部分は、水が十分回ってから軽く擦ると崩れずに外せます。詰まりはタオルに拭き取り、排水に流しすぎない工夫も◎。

Hands rinsing an embroidered pink earring under running water in a sink, beginning to dissolve the water-soluble stabilizer.
The user rinses an embroidered pink earring under running water, initiating the dissolution of the water-soluble stabilizer. This process is gentle, ensuring the delicate thread design remains intact.

6.3 乾燥(平置き+アイロン)

  • 平置きで自然乾燥、またはテフロンシート越しに低〜中温で軽くプレス
  • 直接アイロンはNG(糸・仕上げを傷める可能性)

動画ではテフロンシートを乗せてアイロンで乾燥を促進し、ハリのある仕上がりにしています。

Hands placing a Teflon sheet over wet embroidered earrings on an ironing board, with an iron nearby.
To expedite drying, the user places a Teflon sheet over the wet embroidered earrings on an ironing board. An iron is visible, ready to be used to gently press and dry the delicate pieces without damaging them.

【クイックチェック】完全に乾くと、適度なコシと平滑性が出ます。湿り気が残ると、柔らかすぎたり形が落ちたりするので要注意。

Hands holding up a dried, stiff pink embroidered earring, showing its finished texture and shape.
The user proudly displays a fully dried and stiff pink embroidered earring, demonstrating its final texture and shape. This highlights the successful outcome of the drying process.

6.4 金具の取り付け(丸カン+フック)

  • ペンチで丸カンを「前後にひねって」開ける(左右に広げない)
  • ピアス上部のループに通し、フックを一緒に通してから閉じる
  • 隙間が残らないように締め、フックの向きを整える

動画では、グレーのピアスにダークグレー系の金具、ピンクにはシルバー系を合わせています。敏感肌の場合は、低刺激素材のフックを選ぶと安心です。

Hands using needle-nose pliers to open a jump ring, preparing to attach it to an embroidered earring.
The user employs needle-nose pliers to carefully open a jump ring, demonstrating the proper technique of twisting rather than pulling. This prepares the jump ring for attachment to the embroidered earring.

【注意】強く挟みすぎると金具を傷つけることがあります。ゆっくり丁寧に。

Hands holding a completed silver embroidered earring with an attached jump ring and ear hook.
The user holds up a completed silver embroidered earring, showcasing the attached jump ring and ear hook. This marks the successful assembly of one of the finished jewelry pieces.

■ 仕上げチェックリスト

  • [ ] ジャンプ糸の取り残しなし
  • [ ] 安定紙の残留なし(曇り・ぬめりなし)
  • [ ] 完全に乾燥しており形が保たれている
  • [ ] 丸カンの隙間なし、フックの向きが正しい

7 仕上がりチェック

  • 見た目:輪郭がスッキリ、糸がたるんでいない
  • 触感:軽く、指でそっと押しても形が戻る程度のコシ
  • 表裏:ボビン同色のため両面で色差が出ていない

【クイックチェック】並べてみて、ペア間で長さ・吊り位置が揃っているか確認。左右でフックの向きが対称になっているかも見ます。

Close-up of two pairs of finished embroidered earrings, one gray and one pink, laid on a wooden surface.
A close-up view of the two pairs of finished embroidered earrings—one gray and one pink—showcases their intricate designs and neat hardware. They are neatly arranged on a wooden surface.

8 トラブルシューティングとリカバリー

症状 → 原因 → 対処 の順にまとめます。

  • 糸が切れる/浮く → 上糸・ボビンの通し不良やテンション不良 → 通し直し、テンションを弱めすぎ/強めすぎていないか確認。
  • 仕上がりがフニャッとする → 安定紙の重ね不足や残留、乾燥不足 → 厚手2枚重ねを徹底、残留は再度流水で洗ってからしっかり乾燥。
  • 表裏の色差が気になる → ボビンが白など別色 → ボビンも上糸と同色に交換。
  • 枠内で歪む/波打つ → 枠張りが緩い、引っぱりすぎ → 張り直し。引きすぎない、しわを均等に伸ばす。
  • 金具が外れる → 丸カンの閉じが甘い → 前後にひねる要領で再度閉じ、隙間ゼロにする。

【注意】水溶性安定紙は引きちぎれやすい素材です。枠張りやカット時は力加減に留意し、破れたら張り直しが最短の解決です。

【プロのコツ】量産や反復制作をするなら、今後 brother マグネット刺繍枠 のような着脱が速い枠や、位置決め用治具を検討すると段取りが安定します。小物でも治具の恩恵は大きく、1回ごとの準備時間が短縮できます。

また、将来の拡張としてはサイズバリエーションの枠も視野に入ります。例えば マグネット刺繍枠 11x13 のような大きめサイズ対応は小物の同時生産に有利ですが、本稿の動画事例では具体的な枠サイズは明示されていません(使用可否は各自の機種仕様をご確認ください)。

9 コメントから

  • 「本当に糸だけでできているの?」→ その通り。水溶性安定紙を洗い流すと糸だけが残ります。
  • 「In-the-Hoop って何?」→ 刺繍枠の中で工程が完結するプロジェクトの総称です。
  • 「どのソフト?」→ Embrilliance。Mac 版もありとの回答がありました。
  • 「どのショップのデザイン?」→ 動画では入手元に触れていましたが、該当販売先はその後クローズした旨の補足がありました。

【プロのコツ】パターンを複数面付けするときは、USB へ保存する前に干渉チェックを必ず実施。時間見積もり(片耳約9分)を基に、色替えのタイミングや次工程(洗浄〜乾燥)の準備を先回りすると、待ち時間が無駄になりません。

【発展のヒント】Brother PE800 をお使いの場合、作業の再現性を高めたいときは brother pe800 マグネット刺繍枠 の互換性を必ず確認しましょう。仕様適合が取れれば、着脱スピードや生地・素材の保持安定性で恩恵が得られます(ただし本プロジェクトの動画事例では通常枠を使用)。

【さらに効率を上げたい方へ】枠や設置の選択肢は多様です。たとえば マグネット刺繍枠 brother se1900 用マグネット刺繍枠 11x13 といった選択肢を調べておけば、将来的に機種を変えた時でも段取りの最適化がしやすくなります。枠の互換・適合は必ずメーカー仕様で確認してください。

【安全メモ】

  • 枠張りの引きはやさしく(破れやすい)
  • 低刺激でないフックは敏感肌に不向き。長時間の着用は避けるか、肌に合う素材を選ぶ

最後に、今回の一連の流れは、通常枠・厚手水溶性安定紙(2枚重ね)・同色ボビンという3点を守れば、誰でも安定した結果に近づけます。もし将来のワークフロー改善を狙うなら、マグネット刺繍枠 brother 用マグネット刺繍枠 系の選択肢、あるいは snap hoop monster マグネット刺繍枠 のような着脱性の高い枠も比較検討してみてください(本記事の再現には必須ではありません)。