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アップリケの動画を見て「なるほど…でも、結局どのタイミングで止めるの? 何を先に準備するの? 初回でスウェットを台無しにしないコツは?」となったことがあるなら、ここは“迷わない手順書”として使ってください。
このチュートリアルは、ただの手順なぞりではなく、作業が安定する理由(段取りのロジック)まで含めて再構成しています。Poolin EOC06でスウェットにアップリケ文字を入れる流れを、USB転送から、枠サイズ(7.9"×11")の設定=位置合わせの前提条件、そしてアップリケの基本サイクル(配置縫い→生地置き→仮止め→カット→サテン/ジグザグ)まで、工程として整理します。
さらに、初心者が実際に詰まりやすいポイント——「配置縫い(トレース)が出ない」「カットが怖い」「厚物の枠張りがしんどい/枠跡が出る」——を、原因→確認→対処の形で潰していきます。

アップリケに必要な道具・材料
スウェットのアップリケは、見た目は大胆で“多少のズレが目立ちにくい”一方、工程としては難易度が上がります。厚み(ロフト)と伸縮があるため、シワ・引きつれ(パッカリング)や針のブレが出やすいからです。道具と材料の選び方が、そのまま仕上がりの安定性になります。
スウェットにおすすめのスタビライザー
動画では、ノーショー系のカットアウェイ(メッシュ)スタビライザーを、仮止めスプレーで2枚重ねにして使っています。スウェットでは定番の安定構成です。
- スタビライザー: OESD Poly Mesh cut away(同等の「No-Show Mesh」系でも可)
- 方法: 仮止めスプレーで2枚を重ねてから、裏側(裏返した身頃)に貼り付けて固定
なぜ2枚?(理由):スウェットは重さがあり、かつ伸びます。メッシュ1枚だと肌当たりは良い反面、アップリケの外周(密度の高いサテン/ジグザグ)を支える剛性が不足しやすく、文字が“くびれる”ように引っ張られて形が崩れやすくなります。2枚にすると抵抗が増え、外周の引き込みを抑えられます。
HeatnBondで端をきれいに仕上げる
動画のアップリケ生地は、裏にHeatnBond(接着シート)をアイロンで貼り、配置直前に紙を剥がす流れです。
触って確認: きちんと貼れていると、生地が“紙っぽく”しっかりします。柔らかくフニャっとしている場合は、接着が弱い可能性があります。
これが効く理由:
- 安定: 針が刺さっても生地が暴れにくく、ほつれも出にくい
- カット性: トリミング時に生地が寄れにくく、ハサミが入りやすい
注意:安全・品質リスク 一番事故が起きやすいのが「カット(トリミング)」工程です。テンションのかかったスウェットに刃物を入れるため、縫い目(仮止め)や本体を切ると一気に崩れます。カーブ刃など刺繍用ハサミを使い、下刃をアップリケ生地に寝かせて、焦らず少しずつ切ってください。


Poolin EOC06のセットアップ
アップリケの失敗は、最初の一針より前(設定ミス)で起きることが多いです。ここでは“謎の操作”をなくします。
USBでデータを転送する
流れはシンプルです。
- 保存: 刺繍データ(.DST / .PESなど)をPCに保存
- 転送: USBメモリにドラッグ&ドロップ
- 読み込み: USBを刺繍機に挿してデータを選択
補足(コメントで多い誤解): USB転送に専用アプリは不要で、PC上ではUSBはフォルダとして扱えます(動画投稿者も同様の説明)。

枠サイズ(フレームサイズ)を設定する
Poolin EOC06の画面操作は、動画では次の流れです。
- 電源を入れる
- 画面でUSBを選ぶ
- デザインを選択
- Configuration(設定)へ
- 枠サイズを選択: 7.9"×11"(実際に使う枠と一致させる)
ここが重要な理由: 画面上の枠サイズと、実際に装着した刺繍枠がズレると、可動範囲の認識が狂い、枠に当たって針折れや位置ズレの原因になります。必ず「画面=現物」に合わせます。

スウェットの準備(位置出しと枠張り)
スウェットのアップリケは、準備で勝負が決まります。狙いは「伸びを抑える」「中心を外さない」です。
中心線を引く
動画のやり方は、簡単ですが精度が出ます。
- スウェットを平らに置く
- 縦に二つ折りして中心を出す
- 定規+水で消えるペンで中心線(目印)を引く
- 見た目チェック: 襟や脇線に対して真っ直ぐに見えるか、少し離れて確認

枠張りを成功させるコツ
動画では、裏返してからスタビライザーをスプレーで貼り、枠張りしています。
枠張りの“あるある”と対策:
- 問題: 厚手スウェットを通常の樹脂フープで枠張りすると、内枠を押し込むのが大変で、ネジを締めすぎて枠跡が出やすい
- リスク: 枠を締めた後にシワを取ろうとして生地を引っ張ると、ニットが伸びた状態で固定され、外したときに戻って引きつれが出る
触感の目安: 軽く叩くと“鈍い太鼓”のような張りは欲しいですが、ゴムのように伸び切っている状態はNGです。


工具アップグレード案:スウェット枠張りの負担を減らす
- 状況(つらさ): 厚手フーディーでフープが閉まらない/手首が痛い/枠跡が残る
- 判断基準: 1枚の枠張りに5分以上かかる、または張りが毎回バラつく
- 解決策(選択肢):
- レベル1(手順): ネジをかなり緩めてから内枠を入れ、最後に締める
- レベル2(道具): マグネット刺繍枠へ。厚みに合わせて吸着で固定でき、手の負担と枠跡を減らしやすくなります。
作業前チェックリスト(Startを押す前)
- 印付け: 身頃中心が水で消えるペン/チャコで見える
- スタビライザー: ノーショー系カットアウェイ(メッシュ)を2枚、裏側に固定
- 枠張り: 真っ直ぐ入っている(歪みなし)、張りはあるが伸ばしすぎていない
- アップリケ生地: HeatnBondを貼ってあり、紙を剥がせる状態
- 機械設定: 画面の枠サイズが7.9"×11"になっている
- 針: 90/14(動画投稿者は付属針として90/14と回答)
- 手元: ハサミ、ピンセット(必要なら)、ゴミ箱を手の届く位置に
アップリケ工程(手順)
基本サイクルは 配置縫い→生地置き→仮止め→カット→サテン/ジグザグ です。 ※量産(チームオーダー等)では、ここを“同じ手順・同じ判断”で回せるかが品質と利益に直結します。
配置縫い(トレース)と仮止め縫い
- 速度: 画面で速度を少し落とします(動画でも減速しています)
- Readyを押す
- 押さえを下げる
- 緑ボタンで配置縫い(トレース)を縫う

- HeatnBondの紙を剥がす
- 配置縫いの上にアップリケ生地を置く
- 見た目チェック: 縫い線が完全に隠れるように、周囲に余裕を持たせる


- 仮止め(タックダウン): 押さえを下げてStart。生地を固定する縫い(ランニングや軽いジグザグ等)が入ります。

現場のコツ: 仮止め後に指でなぞって、浮き(ブカつき)がないか確認します。浮く場合は、枠張りの張り不足や生地の置き方が原因になりやすいです。
トリミング(カット)のやり方
- 枠を外す: 機械から刺繍枠を外します。
- 重要: ここで“枠から生地を外す(枠を解く)”のはNGです。外すのは「機械から枠」だけ。
- カット: 余分なアップリケ生地を縫い目ギリギリで切ります。
- 目標: 縫い目から1〜2mm程度を目安に、糸を切らない範囲で寄せる

- 枠を付け直す: 枠を機械に戻して固定
- 仕上げ縫い: Startで外周のサテン/ジグザグを縫います

補足(コメントで多い不安の答え): 枠を機械から外しても、枠の中で生地が動いていなければ、付け直した位置で続きが縫えます(投稿者も同趣旨で説明)。逆に、枠を解いてしまうと位置合わせが崩れます。
注意:マグネットの取り扱い マグネット枠は保持力が強く、指を挟みやすい工具です。吸着ポイントに指を入れない、医療機器や磁気カード類に近づけないなど、取り扱いに注意してください。
文字ごとに繰り返す
たとえば「LIVE」のような文字列なら、L→I→V→Eの順に、このサイクルを繰り返します。
工具アップグレード案:量産時の段取りを安定させる
- 状況(つらさ): 毎回「測る→枠張り→ズレる」を繰り返して段取りに時間がかかる
- 判断基準: 位置ズレで作り直しが出る/枠張りのバラつきがロスになる
- 解決策(選択肢):
- レベル1(段取り): カット作業をまとめて行う(ファイルの停止仕様に合わせて)
- レベル2(道具): hooping station for embroidery machineを導入し、オフマシンで同じ位置に枠張りできるようにする。あわせて 刺繍ミシン 用 枠入れ の手順を固定化すると、再現性が上がります。
- レベル3(拡張): 色替えや停止工程が多いアップリケを継続的に回すなら、単針は段取りがボトルネックになりやすいです。多針刺繍機は色をセットしたまま工程を進めやすくなります。
運用チェック(作業中の“フライトプラン”)
- 速度: 仮止めなど重要工程は減速している
- 順番: データに配置縫い(停止工程)が入っている(いきなりサテンが始まるなら、アップリケ用データではない可能性)
- 覆い: 生地が配置縫いを完全に覆っている
- 安全: カットは必ず機械から枠を外して行う(機械に付けたまま切らない)
- 干渉: 袖や余り布が針下に巻き込まれていない
仕上げ
アップリケ文字が終わったら、動画では通常の刺繍(「Live Oak」部分)を縫って仕上げています。
スタビライザーを処理する
- 機械から枠を外す
- 枠を解いて取り出す
- 裏返して、カットアウェイの余りをハサミでカット
- 補足(コメントより): HeatnBondはアイロンで接着が安定するため、アップリケは仕上げに軽くプレスしておくのが良い習慣です(投稿者がコメントで回答)。
アップリケデータはどこで探す?(配置縫いが出ない問題の正体)
投稿者は、通常の刺繍フォントとアップリケ用フォントは別で、アップリケ用は工程(停止)が組み込まれていると説明しています。
- 探し方: Etsyなどで「アップリケフォント」を指定して探す
- ソフト: 文字の編集やデータ調整をするならソフトが必要で、投稿者はEmbrilliance(エンブリリアンス)を使用しています
- 注意: 画像(PNG)をそのままUSBに入れても、刺繍機が縫えるデータにはなりません。刺繍用に“デジタイズ”されたファイルが必要です(コメントでも同趣旨のやり取りがあります)。
工具アップグレード案:段取り管理
- 状況(つらさ): ファイル探しに時間がかかる/停止のタイミングが合わず混乱する
- 判断基準: データ準備が縫製時間より長い
- 解決策:
- レベル1: 停止工程込みの既製アップリケデータを購入
- レベル2: 刺繍 枠固定台で位置を標準化し、同じ座標で安定して回す
- レベル3: 7.9"×11"クラスの枠を活かせる poolin 刺繍枠 の運用(枠の選定・アップグレード含む)を検討し、胸文字を1回で収めやすくする
判断フロー:スウェットのスタビライザー&枠張り
失敗を減らすための考え方です。
1) 生地が厚くてスポンジ感が強い?(ヘビーウェイト等)
- はい: 基本はメッシュ系カットアウェイ2枚。枠張りがきついならマグネット枠も検討
- いいえ(薄手の裏毛等): 状況により1枚でも回る場合がありますが、アップリケ外周が密ならカットアウェイ優先
2) 外周が密なサテン/ジグザグで仕上げる?
- はい: カットアウェイが安全(途中で破れにくい)
- いいえ(ラフな仕上げ): 選択肢は増えますが、スウェットは伸びるためカットアウェイが無難
3) 枠張りで痛い/枠跡が強い?
- はい: まず締め込み手順を見直し、それでも厳しければ ミシン刺繍用 刺繍枠 の見直し(マグネット等)で負担を下げる
- いいえ: 標準フープでもOK。ただし張りの確認は毎回行う
仕上がり(到達点)
USB転送→枠サイズ確認→中心出し→メッシュ2枚→配置縫い→仮止め→カット→サテン/ジグザグ、という順番を守ると、単針機でもスウェットで安定したアップリケが作れます。
うまくいっているサイン:
- 端が見えない: サテン/ジグザグが生地端をしっかり覆う(HeatnBond+正確なカットの結果)
- フラット: 文字が波打たず、引きつれが少ない(スタビライザー2枚+適正な枠張りの結果)
- 段取りが楽: 工程の“止めどころ”が分かり、作業が怖くなくなる
アップリケは、機械性能よりも準備と段取りが支配します。準備を標準化し、必要に応じてマグネット枠や枠固定台を取り入れると、品質とスピードが一気に安定します。
